映画のまち・立川~地域に愛される、個性豊かな映画館~

ページ番号1028408  更新日 2026年10月20日

シネマシティ株式会社の原口さんとキノシネマ立川高島屋ショッピングセンター館支配人の別府さんの写真

かつて多くの映画館が立ち並び、「映画のまち」として知られてきた立川。現在も立川駅北口エリアには、長年地域に親しまれてきた「シネマシティ」と、2019年にオープンした「kino cinéma(キノシネマ)立川高島屋S.C.館」の2つの映画館があります。

音響にこだわり、全国から映画ファンが訪れるシネマシティ。小規模な劇場ならではの作品選びで、幅広い映画との出会いを届けるキノシネマ。

それぞれ異なる個性を持つ2つの映画館ですが、地域との関わりや、映画館という場所への思いには共通する部分もあります。

今回は、シネマシティの広報を担当する原口さん(写真左)と、kino cinéma高島屋S.C.館の支配人・別府さん(写真右)に、映画館の魅力や地域とのつながり、そして「まちの映画館」として大切にしていることを伺いました。

―それぞれの映画館の特徴を教えてください。

シネマシティツーの外観写真

原口さん シネマシティでは、世界的な音響機器メーカー、メイヤー・サウンド社の音響設備を採用し、臨場感のある音を楽しめる「極上音響上映」を行っています。

その魅力を求めて、北海道から九州まで、全国各地から来てくださる方も。週末にはスーツケースを持ったお客様も多く、一番遠いところだと、ポーランドから来た方もいました。「自分が好きな作品を、自分が好きな映画館で、同じ作品のファンと一緒に観たい」という体験を求めて、立川まで足を運んでくださるのだと思います。


キノシネマ立川高島屋S.C.館の入り口付近の写真

別府さん キノシネマは小規模な映画館だからこそ、話題の作品から隠れた名作まで、幅広く上映しています。

「こんな映画があるんだ」と新しい作品に出会ってもらったり、「この映画、ここでもやっていたんだ」と意外性を感じていただけたり。こんなところに映画館があったのかと驚かれることも多いです。小さいながら一度ご来館いただけるとリピーターになっていただけるお客様も多い、アットホームな劇場です。


―映画館で映画を観ることの価値について、聞かせてください

原口さん 今は配信サービスもありますし、家でも映画を観られますよね。だからこそ、映画館に来るお客様の「熱量」がすごく面白いなと思っています。

たとえば、配信で先に観られる作品を、改めて映画館に観に来る人がいる。「大きなスクリーンで観たい」というだけでなく、作品を応援したかったり、誰かと一緒に観たかったり。最近は「みんなで共有する」ことに楽しさを感じている人も多いのかなと思います。

同じ作品を何度も観る方もいます。「この作品を応援したい」「この映画館を支えたい」という気持ちもあるんでしょうね。

シネマシティツーの館内の座席の写真


―立川というまちとの関わりで、大切にしていることはありますか?

原口さん やっぱり、立川の良さをもっと知ってほしいと思っています。

映画館を目的に立川へ来てもらって、映画を観たあとにまちを歩いてもらう。そういう流れができたらいいなと思っています。映画館は、文化のインフラとして地域を守る存在でもあると思うんです。

立川も昔に比べて、いろいろなものが揃ってきました。「多摩県」なんて言われることもありますけど、それくらいになってもいいんじゃないかなと思うくらい、好きなまちですね。

 

別府さん 私を含め、今働いているメンバーも立川周辺に住んでいる人が多く、立川が好きだから立川の良さをアピールしたいという気持ちは強いです。何かやろうとなったら、まずはまちのことを考える。そういう意識は大切にしています。

劇場では、立川のクラフトビール「立飛ビール」や、市内の伊藤養鶏場産の卵を100%使用したどら焼きなど、地域の商品も販売しています。こうした取り組みを通して、映画館に来た方が立川の魅力を知るきっかけにもなればと思っています。

キノシネマ立川高島屋S.C.館の売店の様子の写真


―地域の方やお客さまとのつながりを感じた出来事はありますか?

別府さん 様々な方に映画を楽しんでもらえる機会をつくっています。福祉施設の利用者さんへ貸し切り上映を行ったり、「Return to My Blue」という作品では配給会社さんとも協力し「インクルーシブ上映」を行いました。

上映後に笑顔を見られるとやはりうれしいのでご相談いただけてよかったなと思います。

 

原口さん シネマシティでも、貸し館という形で、スクリーンを使っていただくことがあります。そこには結構いろんなストーリーがあるんですよ。

あるとき、お父さんと娘さん、息子さんの3人でスクリーンを借りてくださったことがありました。上映したのは『ゼロ・グラビティ』です。

「なんで『ゼロ・グラビティ』なんですか?」とその理由を伺ったら、1年前に亡くなったお母さんが好きだった映画だから、記念に観るんだ」と。

そういうことを急に言われると、こっちもハッとしますよね。

映画館で映画を観る人って、みんな何かしらのストーリーを持っているんだと思うんです。

原口さんと別府さんが取材を受けている様子
シネマシティ株式会社の原口さん(左)とkino cinéma立川高島屋S.C.館支配人の別府さん(右)

―これからも、まちの映画館として大切にしていきたいことは?

原口さん できることを粛々と続けていくことが大切だと思っています。

映画館にあまり行かない方も、まずは年に一度でいい。一度映画館に来て、映画を観る楽しさを知ってもらえたら、次は別の作品を観てみよう、別の映画館にも行ってみよう、となるかもしれない。そうやって映画や立川のまちを楽しむ人が増えていけばうれしいですね。

 

別府さん SNSで劇場閉館のニュースを目にすることがあります。だからこそ、キノシネマ立川に興味を持ったり、実際にお越しくださったお客様が楽しんでいただけるように、ポップを工夫したり、できることは小さなことでも大切にやっていきたいです。

映画館まで足を運ぶのは少し面倒に感じる方もいるかもしれません。でも、一度来てみたら「よかったね」と思ってもらえるはず。そんなきっかけをつくれる映画館でありたいと思っています。


かつて「映画のまち」と呼ばれた立川には、今も個性豊かな映画館があります。

大きなスクリーンと音に包まれて映画を楽しむ。まだ知らない作品に出会う。好きな作品を目当てに、立川を訪れる。同じ作品を観る人と、その時間を共有する。

映画を観ることをきっかけに、映画館、そして立川のまちの新たな魅力に出会ってみてはいかがでしょうか。

(市民ライター:mio.h)