根津祐太郎さん~立川の歴史を深堀りして、次世代のストーリーを創っていく~

ページ番号1026572  更新日 2026年4月22日

写真:根津祐太郎さん

創業70年以上の根津青果店三代目の根津祐太郎さんは、多摩モノレールが走るサンサンロード沿いにお店を構える「アダムスオーサムパイ」の統括マネージャー。ある日、二代目であるお父様から「カフェを作ってほしい」といういきなりの要望があり、猛勉強して2016年にお店をオープンさせたそうです。今年の2026年で10年を迎えるその歩みについてお聞きすると、けっして平坦な道ではなかった、と言います。

カフェづくりをきっかけに掘り起こされた物語

「初挑戦の分野の飲食店のために、専門学校に通い、自分の強みはなにか、どんなお店である必要があるか、など、とことん考えました。その学校で一緒に学んでいた年上の方から『三代目という歴史ある家業があるというのは大きな強味だよ』とアドバイスをいただいたことをきっかけに、青果店の自分のルーツと出店予定の立川のルーツを探ってみたんです。すると米軍基地があったころの立川がカリフォルニア州の住所であったこと、アメリカではアップルパイで町おこしをした場所があることがわかったんです。根津青果店はもともと長野のりんご問屋から始まっているので、りんごを使ってアップルパイを作ろうと考えました」。試作を何度も繰り返してやっとたどり着いたアップルパイは、よく見かける生地を重ねた形ではなく、アメリカで主流の練りパイ。木箱の形を模した四角形で、全粒粉の生地に生のりんごをあしらい存在感のある商品に仕上げています。店の内装もこだわり、カリフォルニアの空をイメージした爽やかな青の壁にして、木箱をモチーフにしたりんごの木のオブジェなど、アメリカンでかつ童話のような世界観のある空間を創りあげました。

写真:アップルパイ

写真:カフェの様子


物語に共感することで増えていく未来の形

「試作を重ねて商品を完成させ、店舗をオープンしましたが、まったくお客様が来てくれない。その時期はしばらく続きました。さすがに焦ってこのままじゃ終わってしまうと思いました」打ち出したコンセプトが違うんじゃないか、ほかのお店みたいな商品にしたほうがいいのかも、と悩んだそうです。そんな中、2018年に放映された、立川市を特集したあるテレビ番組によって事態は一変します。その番組内でお店のコンセプトや立川の歴史などを詳しく説明したことで、周りの反応が変わり、お店にも人が集まってくるようになったそうです。

「要はお店のコンセプトを創ることに精一杯で、周知することに頭が回っていなかったんです。どのようにアピールしていけばいいのかがわからずに世界観だけを追求してしまったことが原因でした。味もさることながら、人はその裏側にあるストーリーに共感してファンになるんだ、ということを痛感しました」

それと同時に、今まで立川を支えてきた人たちの頑張りと歴史があったから、このまちはここまで発展してきたんだということを改めて気づかされたと言います。放映の後には、来店した方から「第一デパートにあった根津青果店さんなのね。懐かしいわ」とお声がけをいただいたりもしたそうです。「立川は新しいものを取り入れていくのも得意ですが、昔からの商売をされている方々の存在もあって、その共存の面白さがあるんですよ。このことをもっと多くの人に知ってほしいです」

今ではお店の物語に共感した方々とコラボレーションすることも増えてきたそうで、2025年からは現店舗に加えて昭和記念公園の入り口に位置するTiSTOREに出店し、来園者に商品を提供しています。

写真:根津さん2

起きたことはすべて感謝。挑戦は無限にある。

これまでの人生を振り返ると叱責された経験も少なくない、と根津さんは言います。「中学時代の恩師や就職面接を受けた採用担当の方から厳しい言葉を受けたりしたこともあります。でもそれって相手が自分に期待してくれて、きちんと向かい合ってくれた姿でもあるんですよ。それってありがたいことだな、と思うし、そのことが成長の原動力になっていたんだと感じます」このエピソードから素直に他者の意見を受け止め、粘り強く改善する気質が伝わってきます。

また根津青果店の三代目としての果物へのこだわりは日常の習慣からも垣間見ることができました。「感覚が鈍らないように毎日必ずリンゴを一個食べるようにしています。その時期や産地で味の違いがある。りんごだけでなく美味しいバナナを見極めるのも得意なんです。触っただけで、どれが一番美味しいかわかるんです。子どもたちにも重宝がられています」

看板商品のオリジナルアップルパイには酸味が強い紅玉を、甘い品種のふじは焼きリンゴにして濃厚な甘みを引き出す、など品種や季節によって一番おいしい形で食べてもらう工夫を凝らしています。またバナナクリームパイなどの変わり種も根強いファンがいる人気商品だそう。その他、パイ食べ放題や新商品も常に開発を続けています。

「試行錯誤はとどまることはないですね。いろんな方々とコラボレーションすると、お互いの強みが際立ってまた新しいストーリーが生まれる。学校や施設、飲食店など今後の計画が盛りだくさんなんです」立川のまちをもっと盛り上げようと楽しそうに語る根津さん。そんな根津さんが手がけるアップルパイを食べにお店に立ち寄ってみませんか。

株式会社 根津
所在地:立川市高松町2-7-11 電話番号:042-522-4252

Adam's awesome PIE(アダムス オーサム パイ)
所在地:立川市緑町4-5 コトブキヤビル201 電話番号:042-595-8375