ふるさと立川・郷土の野草

ページ番号1004850  更新日 2024年4月17日

街の発展とともに、立川市内の植物をとりまく環境も大きく変わりました。消滅してしまう種がある一方で、地域に根強く残っている種もあります。

ここでは市にゆかりのある野草にスポットを当てて紹介していきます。

写真:カワラノギク1

市内で見ることができる野草一覧

市内で見ることができる野草を写真や解説で紹介します。内容は立川市文化財保護審議会・内野秀重委員(自然史植物)により監修、写真提供していただきました。

1.アマナ(ユリ科:花期3~4月)

写真:アマナ


耕作地周辺や林縁などに生える多年草。早春、2枚の葉の間から花茎を伸ばしてチューリップ状の白色花を開くが、種子散布後、早々に地上部を枯らして休眠する。地中に鱗茎があり、かつては食用にされたが、市内では現在きわめて稀な植物となっている。

2.ムラサキケマン(ケシ科:花期4~6月)

写真:ムラサキケマン


山野の半日陰地に生える二年草。葉は薄く羽状に裂けて展開し、翌年、花茎を伸ばして紅紫色の花を咲かせる。花後、果実は鞘状となり、熟して種子をはじきとばす。アルカロイドを含む有毒植物であるが、ウスバシロチョウの食草として知られている。

3.ニリンソウ(キンポウゲ科:花期3~4月)

写真:ニリンソウ


湿った林縁や小川の周辺に生える多年草。温帯性の春植物で、玉川上水沿いや段丘崖の肥沃地に群生する。花弁のように見えるのはがく片で、通常は5枚ある。茎上部の総苞葉から最初に一輪の花が咲いた後、遅れて2輪目の花を咲かせる。

4.タチツボスミレ(スミレ科:花期3~4月)

写真:タチツボスミレ


50種以上ある日本のスミレ類のなかでもっとも身近に見られ、草地から林内、庭先までさまざまな環境に生育する。薄紫色の花をつけ、托葉が櫛の歯状に分裂することが特徴だが、花色に濃淡の個体差があることと、野に生きるたくましさが魅力である。

5.カントウタンポポ(キク科:花期3~4月)

写真:カントウタンポポ


農耕地周辺や河川堤防など、低茎に維持された草地に生える多年草。在来のニホンタンポポの一型で、頭花基部の総苞片には突起が目立つ。都市部の市街地ではセイヨウタンポポや雑種化したタンポポの拡大で減少してしまったが、段丘崖など、古くからある草地にはまだまだ健在である。

6.オドリコソウ(シソ科:花期4~5月)

写真:オドリコソウ


肥沃な林縁草地に生える多年草で、市内では段丘崖下部に自生地が残されている。花は白色から淡紅色で、かぶと状の上唇に4本の雄しべが寄り添う。花をアップで見ると、まるで笠をかぶった踊り子が輪になって並んでいるように見える。

7.ウラシマソウ(サトイモ科:花期4月)

写真:ウラシマソウ


雑木林や竹林、屋敷林などの半日陰地に生える多年草。名は、仏炎苞から伸びたヒモ状の付属体を浦島太郎の釣り糸に見立てたもの。性転換する雌雄異株植物として知られ、若い個体は雄株だが成熟すると雌株に転換し赤熟する果実をつける。

8.ナガエミクリ(ガマ科:花期6~8月)

写真:ナガエミクリ


砂底質の清流に生える多年生の水生植物で、市内では同属のミクリとともに矢川に自生する。通常は水中で葉をたなびかせているが、成熟すると水上に花茎を立ち上げて頭花をつけ、やがて栗のイガ状の果実となる。花序は分枝せず、雌性頭花に明瞭な柄があることが近似種との良い区別点である。

9.コマツナギ(マメ科:花期6~9月)

写真:コマツナギ


河川敷や土手、路傍など、日当たりの良い草地に生える草本状の小低木。葉は奇数羽状複葉で小葉は7~13枚ある。初夏から秋にかけて、枝上に円錐状に多数の蝶形花を咲かせる。馬をつなぎ止めることもできるほど、茎が強く、根も固く地に張っていることからの命名。

10.ミゾホオズキ(ハエドクソウ科:花期6~9月)

写真:ミゾホオズキ


渓谷や湧水湿地に生える多年草で、市内では矢川の湧水環境だけに見られる貴重な湿生植物である。葉は無毛で卵形、鋸歯があり、対生する。初夏から秋まで開花は続き、浅い水辺で黄色い筒状の唇形花を開く。がくには5つの翼が発達する。

11.キツネノカミソリ(ヒガンバナ科:花期7~8月)

写真:キツネノカミソリ


段丘崖の林縁や玉川上水沿いの緑地などに群生する多年草で、地下に鱗茎を持つ。早春に展開した線形の葉は夏の始まりとともに枯れ、盛夏の頃、花茎だけが伸びて散形状に花を開く。6枚の花被片は鮮やかな橙色で、花後は結実して黒色の種子を株元にこぼす。

12.ヤブカンゾウ(ワスレグサ科:花期7~8月)

写真:ヤブカンゾウ


河川堤防や林縁草地などに群生する多年草で、有史以前に中国から渡来したと考えられている。根生葉は長く、幅2センチほどの広線形。梅雨開け後、八重咲きの橙赤色花を次々と咲かせる。新芽やつぼみは食用となる。玉川上水沿いには、一重咲きの在来種であるノカンゾウも自生する。

13.メハジキ(シソ科:花期7~9月)

写真:メハジキ


林縁や草地、路傍などに生える二年草。根生葉は卵心形だが、翌年、伸長した花茎に対生する葉はヨモギに似て深く切れ込む。盛夏から秋にかけ、葉腋に紅紫色の唇形花を密につける。「益母草(ヤクモソウ)」の別名があり、花の時期の全草を乾燥させたものが漢方の生薬として産前産後に用いられる。

14.ジュズダマ(イネ科:花期7~10月)

写真:ジュズダマ


熱帯アジア原産の帰化植物で、川岸や湿地に生える多年草。草花遊びなどで親しまれてきたじゅず玉は、葉鞘が変化した苞鞘と呼ばれる器官で、熟すと緑色から黒色へ、さらに白色へと変化する。茶や薬用にされるハトムギは苞鞘が固くならないジュズダマの別変種である。

15.ナンテンハギ(マメ科:花期8~10月)

写真:ナンテンハギ


日当たりの良い草地に生える多年草で、市内では玉川上水沿いの土手などに見られる。小葉はナンテンの葉に似て2枚ずつ茎に交互につく。夏の終わり頃、節から柄を伸ばし、青紫~紅紫色の蝶形花を穂状に咲かせる。アズキナの別名があり、かつては若葉が食用にもされた。

16.サクラタデ(タデ科:花期9~10月)

写真:サクラタデ


川岸や湿地に生える多年草で、市内では湧水のある水辺にわずかに自生する。花はタデの仲間ではもっとも美しく、桜の花にちなんだ名前がついている。雌しべの基部の長さに二型があることから同じ株や集団内での結実が避けられる一方、旺盛に地下茎で増える性質を持っている。

17.アキノキリンソウ(キク科:花期9~11月)

写真:アキノキリンソウ


平地から山地にかけての林内や路傍などに生える多年草。葉は卵形から卵状披針形で茎に互生し、上部に5~6枚の舌状花をもった頭花を開く。野菊とともに里山の秋を彩る草花の一つだが、平地では減少傾向にあり、市内では平地林に希産するだけとなっている。

18.ヤクシソウ(キク科:花期10~11月)

写真:ヤクシソウ


山野の向陽の地に生える二年草。全体無毛で茎はよく分枝し、葉は倒卵形で基部は茎を抱く。花は鮮やかな黄色で、舌状花の先端は鋸歯状に切れ込む。薬師如来にちなむ命名とされるが、諸説ある。葉や茎をちぎると白い乳液が出ることからチチクサの別名もある。

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【コラム】カワラノギク

写真:カワラノギク2


関東地方と静岡県東部、長野県の一部の河川敷に自生するキク科の二年草。昭和2(1927)年に立川市内の多摩川で発見され、京都大学名誉教授の北村四郎博士によりAster kantoensis Kitam.と学名がつけられた。カワラノギクは、丸石が転がる砂礫質の河川敷を好むが、河川環境の変化により、生育に適した環境が失われ、立川市内から消滅してしまった。環境省レッドリストでは、現在、絶滅危惧2.類(VU)に指定されており、多摩川の上流域において、保護活動の続けられた河川環境だけに残存している状況となっている。

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