令和7年第1回市議会定例会 市長施政方針表明(令和7年2月18日)

ページ番号1023661  更新日 2025年3月17日

令和7年第1回市議会定例会での施政方針表明の様子

令和7年第1回市議会定例会の開会に当たり、令和7年度に向けて立川市の施政方針を述べさせていただきます。

1 令和6年度をふりかえって

令和6年度を振り返ると、立川市にとって多くの出来事があった1年となりました。 

私の市長就任後、初の通年本格予算であり、現在進行形でもある令和6年度予算は、「優しさと安心をカタチに! 子育て・暮らしの笑顔あふれる予算 〜第1章〜」と題し、市長公約として掲げた50項目の実現を目指しつつ、議会や市民の声を反映することにも注力いたしました。

特に、市民の要望が多かった学校給食費の無償化は、小学校に加え中学校でも実現いたしました。

他にも、子育て支援としてGPS端末購入助成特定不妊治療費助成、妊産婦向けの「図書館資料等宅配事業」など、多岐にわたる施策を展開いたしました。

当該予算につきましては、出席議員の全会一致で議決を賜り、さらに予算執行に対して多大なご協力を頂きましたこと、議会の皆様には深く御礼申し上げます。市民生活をいかに向上させるのかとの共通目標に対して、市政の両輪としての一体感を覚える一年でもありました。

市民と市政の距離を縮める取組も積極的に行い、令和6年度より「市長と語ろう!」から「市長と本気で語るタウンミーティング『言っちゃお!市長と。』」にネーミング変更したタウンミーティングをはじめとする様々な意見交換の場に赴きました。

また、ファーレ立川アート30周年など様々な地域を盛り上げるイベントも多数開催され、立川市が作品に登場するアニメとのコラボレーション・イベントなども話題を呼びましたが、いずれも街の活性化に結びついていることを実感しています。市の公式ホームページもリニューアルされ、情報へのアクセス性や安全性も向上しました。

スポーツ分野では、パリオリンピック・パラリンピックが開催され、日本選手の連日のメダルラッシュは、日本国中に元気と活力を与え、中でも立川市ゆかりの選手たちの活躍は、市民に感動を与えました。

立川市は多摩地域における交通の要衝として発展を続ける一方で、みどりも豊かであることが魅力と感じています。

農業分野では、ブロッコリーが都内生産量・作付面積ともにナンバーワンであり、これを機に学校給食での提供やイベントでのPRなど「ブロッコリー推し活」を展開しましたが、これは若手職員からの発案がきっかけとなりました。

能登半島地震の発生を受け、職員の現地派遣、輪島市の小中学生等への電子書籍閲覧サービス提供や市役所ロビーでのチャリティコンサートの開催など、多角的な被災地支援活動も行ってまいりました。

その他、市政にも大きな影響がある総選挙、都知事選挙が執行されましたが、投票機会の充実を目的に期日前投票所の拡大などにも選挙管理委員会の方針に基づき対応してきました。

さらに新紙幣発行マイナ保険証に関する動向など、社会的な出来事もありました。

このように、令和6年度は立川市にとって、子育て支援の強化、地域活性化、情報発信の強化、そして被災地支援など、多岐にわたる取り組みが行われた一年となりました。

2 新年度の立川市の全般的な状況 令和7年度に向けた展望(市政の課題や経営戦略2025など)

近年、全国各地で頻発する異常気象は、人々の生活に甚大な被害を及ぼしており、本市においても大規模災害の脅威に対する人々の不安は増大しつつあります。これらの災害は、市民の安全・安心を揺るがす深刻な課題になりうるものと考えています。

また社会経済情勢に目を向けると、長年のデフレから脱却の兆しを見せつつあるものの、物価上昇が賃金上昇を上回る状況が続き、市民生活は依然として厳しい状況に置かれています。市民生活の安定のためには、物価と賃金のバランスを保ち、賃金上昇が物価上昇を上回る経済状況を実現することが喫緊の課題となっています。

令和7年は、団塊世代が75歳以上の後期高齢者となる、いわゆる「2025年問題」が現実のものとなる年です。医療・介護等の社会保障関係費の増加に加え、担い手不足が深刻化し、地域社会の維持にも大きな影響を与える事が懸念されます。

本市における人口動向は社会増により微増傾向にあるものの、少子化は依然として進行しており、将来の担い手不足が予想され、切実な課題であります。

さらに、本市の公共施設は老朽化が進行しており、その約4割が築後50年以上を経過しています。計画的な再編を進めてはいるものの、人件費・原材料費等の高騰により、建替え費用が当初見込みを大幅に上回る状況にあるほか、深刻な人手不足により入札不調等が続くなど、抜本的な計画の見直しを迫られています。

令和7年度予算案の概略については、後日、各会計予算案の提案時に説明いたしますが、ここでは財政上の大まかな特徴について申し上げます。

一般会計予算案の予算規模は各年度当初予算比で4年連続増となり、過去最大の予算規模となっております。

市税も前年度比で15億9千万円程度の増収となっております。一見すると堅調にも映りますが、納税義務者の増加はあるものの、実際は定額減税のマイナス影響額が令和6年度の7億3千万円から、令和7年度は1億1千万円と6億2千万円相当の影響額の縮小など、いわば見せかけの増収の要素が見受けられます。

さらに市財政を短・中期的に冷静に分析すると、景気動向の不透明性、ふるさと納税制度による税収への影響、物価高などにより、安定した歳入の脆弱さの一方、歳出の増加は加速しており、一般財源の確保がこれまで以上に困難な状況となっております。

本予算案における充当一般財源においても、人件費や扶助費、公債費といった義務的経費が前年度比3.5%の増となっていることに加え、維持補修費は前年度比6.2%増、物件費は行政DX関連の投資が集中していることもありますが、同14.1%と急増しております。先に述べましたように教育施設等の整備の遅れへの対応を含め、公共施設等の再編や維持管理の適正化など、将来の財政運営に大きな影響を与える要因への対応は、従来の考え方では長期的には限界が見えてきており、本予算からもその警告メッセージが読み取れてしまう状況であります。

早急に新たな道筋を準備する必要がありますが、今後とも議会・市民の皆様などと、様々な英知を結集して、優しくて、つよい立川の未来を目指して参りたいとの決意を新たにいたしました。

3 予算編成の方針について

次に予算編成方針について、若干触れさせていただきます。

令和6年8月にお示しした「経営戦略2025」では、市長公約と第5次長期総合計画の着実な推進に向け、行政評価に基づくPDCAサイクルを有効に活用し、令和7年度に優先的に取り組む政策と改革事項を整理いたしました。

特に、政策を進める上での視点として、次の3つの視点、すなわち「安心を感じられる」「住み良さを感じる」「未来を創造する」を政策横断的な視点に持ちつつ、予算編成を進めて参りました。

安心を感じられる(防災・くらしの安心)

はじめに、安心を感じられるとして、近年激甚化・頻発化する災害から市民を守るための施策展開を推進し、物価高への対応を国・都と連携し、市民生活の基盤づくりに積極的に取り組みます。

誰もが社会と繋がり、安心して暮らせるまちづくりを揺るぎないものとして進めます。

具体的には、防災体制の抜本的な強化、災害に強いまちづくり、生活困窮者への温かい支援、地域福祉の一層の充実などを推進する施策を展開してまいります。

住み良さを感じる(くらしやすさ・子育てしやすさ)

次に、住み良さを感じるとして、市民一人ひとりが地域で支え合い、希望と生きがいを持って、健康に暮らせる取り組みを推進しつつ、多様性や共生・共助の価値を広く社会に広めます。

若い世代が安心して子育てができ、高齢者が穏やか、かつアクティブに過ごせる環境を整備し、誰もが住みやすさを実感できるまちづくりを進めます。

具体的には、若者世代への応援、子育て支援の充実、高齢者の健康増進、地域包括ケアシステムの構築、多文化共生社会の実現、多様性などを推進する施策を展開してまいります。

未来を創造する(立川でチャレンジできる・持続可能なまち)

さらに、未来を創造するとして、十年先の立川を見据え、人々や物の交流を生かし、若者をはじめ様々な人が挑戦できる場を官民連携で創出します。

DX推進や経費見直しで持続可能、かつ利便性の高い行政サービスを提供します。

職員が挑戦・提案しやすい環境を整備し、時代に合わせた見直しを行い、未来を創造しながら持続可能な自治体運営を進めます。

具体的には、創業支援、デジタル技術の活用、行政手続きのオンライン化、公共施設の最適化などを推進する施策を展開してまいります。

 

以上が、令和7年度に重視すべき3つの視点の内容でございますが、令和7年度は第5次長期総合計画の初年度であり、新たな10年間の未来ビジョン「魅力咲きほこり つどい華やぐまち 立川」に向け、新たな13の政策分野において重点取組施策を盛り込み、各施策目的の実現を目指してまいります。

また厳しい財政運営を見越し、経常経費の圧縮は急務の課題であります。

市民生活に直結する事業や法令で義務付けられている事業を優先するなど、施策の優先順位を精査してまいりました。一方、安易な経費削減が市民サービスの低下や職員の職場環境の悪化に繋がらないよう、常にバランスを保つことに最大限留意してまいります。

職員の職場改革につきましては重点的な課題と認識し、今後更に加速させていく所存であります。これは、自治体における働き方改革への対応という守りの側面のみならず、人材確保という攻めの側面や発想の転換をも含んでおります。昨今の自治体を取り巻く状況、すなわち職員のマンパワー不足という課題に対応するためには、優秀な人材を立川市役所に引き付けることが不可欠であると考えています。私自身、就任後様々な職場の状況を目の当たりにし、行政ニーズの急増と、新たな地方行政のあり方を模索する中で、職員への負担が増大している現状を痛切に認識いたしました。職員一人ひとりがやりがいを持ち、意欲的に働ける環境なくしては、市民サービスの向上は実現し得ないと判断し、職場改革を重点施策として位置付けた次第であります。

また予算編成における新たな試みとして「市長特選枠」を創設いたしました。

通常は各部局要求、財務部査定、市長査定のステップを踏みますが、係長・係員等の現場職員が直接、私にアイデアをプレゼンテーションできる機会としました。

今回は募集テーマを「市民サービス向上のための職場改革」とし、結果14課から16件の提案が出され、各課チームが直接、私にプレゼンし、そのうち10件を採用しました。

私の公約のひとつである「学校給食費の無償化」をパワーアップする政策として「保育園給食費の無償化」など目を見張る提案もあり、今後も職員の政策立案・提案力向上のためにも続けていきたいと考えております。

4 市長公約関連の取り組み状況について

次に公約の実現に向けての進捗状況について申し上げます。

市長就任以来、令和5年度補正予算対応、令和6年度当初予算等において、公約実現に鋭意努めてまいりました。

本予算案においても、小中学校給食費の無償化、未就学児の国民健康保険料の均等割額の減免、特定不妊治療医療費助成、高齢者補聴器助成など中長期的な支援が必要であると判断したものは継続し、放課後子ども教室「くるプレ」や健康ポイント事業などは、更に拡充をいたしました。

公約関連において、新たに本予算案に計上させていただいた項目を含めると、50の公約のうち、8割にあたる40項目に着手することができました。

今回の令和7年度予算案において公約関連で新規に予算計上した主なものとしては、

子ども食堂への補助

放課後子ども教室「くるプレ」の拡充

学童保育所の定員拡大と質の向上

地域福祉アンテナショップの拡充

教育情報システムの更改

認知症検診の普及啓発

前立腺がん検診の導入

同性等パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の導入

若者会議の実施

地域公共交通計画の策定

犯罪被害者等支援条例の制定

(災害時の避難所や避難ルートの再検討のひとつとして)議会からのご要望にお応えした
トイレカーの導入

公契約条例の制定

(プレスリリース配信サービスの導入を通じて)パブリシティの強化

行政手続のオンライン化に向けた取り組み

対面キャッシュレス決済・オンライン決済の拡充

契約・地方税関連事務のデジタル化

産業振興計画の策定

既存住宅の断熱改修費の補助

(泉町西公園整備工事の実施設計にて)ドッグランの整備

などがあります。

一方で、私は、公約に過度に固執し、行政運営を硬直化させることのないよう考えており、他自治体の事例など参照してまいりました。そのため、先に申し上げましたように、自らの公約に対しても柔軟な姿勢で臨むことを常に心掛けております。

中には、その趣旨は維持しつつ、手法を変えた政策もございます。

市長就任後の取組みや立案を通して、公約の政策を策定する過程で、これまで自ら集約してきた市民からのニーズと、市長としての立場を踏まえた現実の行政ニーズが的確に合致していることを改めて確信いたしました。

もちろん、社会情勢は常に変化しており、新たなニーズも生まれてまいります。今後も、変化に迅速に対応し、市民の期待に応えるべく、市政運営に邁進してまいります。

5 主要な施策について

今回の予算案については、「優しさと安心をカタチに!子育て・暮らしの笑顔あふれる予算~ 第2章 ステップアップ~」とタイトル付けしました。

本予算案は総じて令和6年度予算の継続性を色濃く反映しつつ、更に力強くバージョンアップした内容になっております。その性格をわかりやすく示すためにも、あえて令和6年度のタイトルを踏襲させて頂きました。

また重点分野のカテゴリーについても、令和6年度予算を引き継ぎながら、かつ進化した形で、以下のように振り分けました。

1.優しい子育て、穏やかな暮らしを守る

2.たちかわ(立川)は生きる力の応援団長‼

3.みんなで高めるわが家の安全

4.優しさと効率を両立、未来志向の市役所経営

5.地球に優しく、豊かな暮らしの好循環

次に予算案に盛り込んだ、主だった施策を説明いたします。

まずは市民の声を代表・代弁する議会の皆様、とりわけ各会派からの予算要望への対応を述べさせて頂きます。

複数の会派から要望頂いた共通政策として、「新婚・若年世帯の新生活支援」については、結婚を希望する若者を応援し、住み続けたくなるまちの実現を目指し、新婚・若年世帯の新生活を支援します。このうち「結婚新生活支援事業」では、一定の世帯所得未満の39歳以下の世帯に対し、住宅賃貸借費用、引越し費用、住宅取得費用、リフォーム費用に関して、上限30万円までを支給します。また、「市営住宅若年夫婦世帯用募集枠新設」として、市営住宅の申し込み区分に若年夫婦の区分を新設します。

「学童保育所の定員拡大と『質』の向上」については、学童保育の拡充として、定員拡大と「質」の向上を目指し、待機児童が多い第九小学校区に25人定員の学童保育所を新設するほか、西砂学童保育所をくるプレとの一体型施設に改築し定員を増やします。また、将来的なニーズを踏まえ「学童保育のあり方検討委員会(仮称)」を設置し、持続可能な運営と「質」の高い保育サービス提供に向けた検討を進めます。

「小中学校の給食費無償化を継続」についても各会派からの要望を頂きました。家庭の経済的負担を軽減する重要な施策でありますが、財源確保に留意しながら今後も実施してまいります。

「同性等パートナーシップ宣誓制度の導入」について、一方または双方が性的マイノリティである二人が、互いを人生のパートナーとして認め協力し共同生活を送ることを宣誓する制度を導入します。子や親など家族の関係を届け出た場合には、ファミリーシップ制度も合わせて設定します。性的マイノリティへの理解を促進し、偏見や差別のない社会の実現を目指します。条例制定の要望もありますが、まずは制度を実務的に進め、条例の制定が必要不可欠と判断した場合には検討させて頂きます。

「地域公共交通計画の策定」については、交通不便地域の解消、住民の移動手段の確保、アクセス性・持続可能性の高い交通ネットワークの構築を目的としております。令和6年度に実態調査、アンケート、ワークショップ等を実施しました。公共交通軸と拠点の充実・保証、移動制約者の足の確保等の検討を地域公共交通活性化協議会で行い、具体的な施策の方向性を示す計画を令和7年度中に策定します。

「災害時対応のトイレカーの導入」については、能登半島地震でも改めて災害時のトイレ問題が浮き彫りとなりましたが、その解決策のひとつと考えております。令和7年度は他自治体の例を参考に導入のためのクラウドファンディング等を実施する予定としております。令和8年度の納車時には災害派遣トイレネットワークに加盟することで、被災時に加盟自治体が相互に支援する仕組みに参加し、災害時対応機能の強化と市民の防災意識の向上にも寄与して参ります。

「立川駅前周辺等の治安対策」については、安全・安心パトロール指導員、委託事業者、警察等と連携したパトロールの実施、地域団体が取り組む客引き等迷惑行為防止活動の支援、協働など治安対策を強化してまいります。

「行政サービスのDX化を推進」し、市民の利便性向上と行政業務の効率化に取り組んでまいります。パソコンやスマートフォンからいつでもどこでも行政手続きができるようオンライン化を目指し、令和7年度は住民票の写しなど証明書のオンライン申請を開始します。
 また、市役所窓口では対面キャッシュレス決済を拡大し、オンライン決済も施設使用料や戸籍・住民票等オンライン申請、課税・非課税証明書で開始します。

また住民情報システムの標準化・ガバメントクラウドへの移行、教育情報システムの更改など行政DX化を加速させてまいります。

「公契約条例の制定」について、令和6年度中にも準備を進めてまいりましたが、令和7年度中に条例を制定し、令和8年度施行を目指しております。公共事業の適正化及びその業務に従事する労働者等の適切な労働環境の確保、地域経済の健全な発展並びに公共工事・公共サービスの品質確保につなげます。それに関連して、地元企業育成の観点からも市内事業者が市発注事業に参加しやすい仕組みを進めてまいります。

その他個々の会派からの要望では

【立川市議会公明党】からの要望として、

「基幹相談支援センターの早期設置」については、令和7年9月設置を予定しています。障害者等への相談支援や成年後見制度の利用促進など、地域における相談支援の中核的な役割を担います。地域づくりや相談支援専門員等の人材育成、相談支援の質の向上を推進し、障害のある方が住み慣れた地域で安心して暮らせるよう環境を整備します。

「男性用HPVワクチン任意接種費用助成」を計上しました。小学6年生から高校1年生相当の男性を対象に、HPVワクチン接種費用を無料としました。あくまでも任意接種の位置づけとなります。

他にも

「子どもたちに伝統芸能の体験の場を設ける」

「公共空間を文化芸術の発表の場として活用」

「デフリンピック2025東京大会成功への気運醸成」

「災害時の実効性ある個別避難計画の作成」

「指定管理者選定にあたり利用者の声を着実に反映すること」

「残堀川流域の雨水対策」

「無電柱化」

「公園及び街路樹の植栽の適正管理」

に取り組んでまいります。

次に【日本共産党立川市議団】からの要望として、

かねてから「日本非核宣言自治体協議会への加盟」について提言を頂いていました。令和7年度は戦後80年を迎える節目でもあり、核兵器廃絶を目指す都市宣言を表明するとともに、平和首長会議への参加に加え、日本非核宣言自治体協議会へ加盟します。都市間の連携を強化し、平和への取組を一層推進することで、核兵器のない平和な世界の実現に貢献します。

他にも、市民のくらしに即した様々な提案を頂き、施策に取り入れさせて頂きました。

次に【立憲ネット緑たちかわ】からの要望として、

「若者会議の実施」については、若者が希望を持てるまちの実現に向け、18歳から39歳以下を対象に、近隣市と連携し、若者を募集し、若者主体で会議の進め方を検討します。若者の視点で政策を市に提言し、次世代を担う若者の意見を市政に生かすことで、若者世代が住み続けたくなるまちを目指します。令和7年度は、近隣市と連携して若者会議の準備を進めます。

「居住支援事業の拡充」については、住宅確保が困難な人々の生活の安定を支え、誰もが安心して暮らせる社会の実現を目指すための取組であります。令和7年度は居住相談窓口の相談日、相談場所を増やすなど全体の相談枠を増やしてまいります。

「地域福祉アンテナショップ運営の拡充」については、社会から孤立しがちな人々の支援と、「地域生活課題」の解決を目指すための交流・相談の場でもあり、誰もが気軽にふらっと来て参加できる、つながりや支え合いの場を提供することに意義があり、令和7年度では更に拡充を進めてまいります。

その他にも

「医療的ケア児とその家族への支援の充実」

「学校教育における配慮事項の周知徹底」

「練成館弓道場の暑さ対策」

にも取り組んでまいります。

次に【たちかわ自民党・安進会】からの要望として、

「立川産農作物の地産地消とブランド化の推進」として、収穫体験や料理教室等を組み合わせた立川印をあじわう体験型ツアーの企画に取り組み、市民はもとより市外からのファン獲得をすすめるとともに、みのーれ立川、のーかるバザール、庭先販売の直売所等を通じて地産地消を推進しつつ、なおかつ食育にもつながるようにそれぞれを支援してまいります。

その他にも

「小中学校の授業にてタブレット活用充実・環境整備」

「ごみ減量の推進」

「街路樹の適正化」

「無電柱化の推進」

「浸水・冠水地域対策の整備」

に取り組んでまいります。

また会派に属さない議員の皆様においても、日頃の議会での質疑などから導かれる施策について可能な限り予算計上させて頂きました。

更に私どもは行政運営のあらゆる場面で、日々、市民の皆様から寄せられる声に真剣に耳を傾けております。これらの貴重な意見を集約して予算に反映するように努めました。

このように立川市に対する溢れるばかりの多様な思いをまとめて、もちろん厳しくも限られた財源の範囲で、優先順位など試行錯誤を繰り返しながら、本予算案は綿密に練り上げたものとなっております。

次に、まだ説明を加えていない主要な事業についても、公約に関連した施策を中心にいくつか簡潔に申し上げます。

「子ども食堂への補助」について、地域の子どもや保護者が気軽に立ち寄り、食事や交流ができる居場所の維持・増設を目的として、民間団体等が行う子ども食堂の活動に対し、開催に必要な経費の一部を補助します。この事業により、地域に根ざした活動を支援し、子どもたちの健やかな成長をサポートしてまいります。

「学童保育所での配食サービスの提供」について、学童保育所にて長期学校休業期間中の昼食提供サービスを開始し、保護者のお弁当作りの負担を軽減します。試食付き説明会後、夏休みより開始予定で、1食あたり500円前後の価格帯を予定しています。弁当持参による猛暑下での衛生管理面の不安への解消にも繋がることを期待しています。

「保育所の副食費の無償化」について、認可保育所に通う3~5歳児の給食費無償化を実施します。現在は、主食費は市が負担し副食費は一部補助で保護者負担は1,000円ですが、東京都が実施する保育料第1子無償化に合わせて市からの補助を拡大し、保護者負担分も無償化します。

保護者の経済的負担軽減と保育現場の徴収事務負担軽減につなげて参ります。

「放課後子ども教室くるプレの拡充」について、新たに第四小学校、第八小学校、幸小学校、新生小学校の4校に導入し、市内15校で事業を実施します。また新1年生の利用開始日を前倒しして保護者ニーズの高い年度当初の居場所を確保するなどサービスの向上を行ってまいります。

「前立腺がん検診の導入」について、前立腺がんは、50歳以上の男性で診断される方が増加する傾向にあります。早期発見に有効なPSA検査を、市の健康診査時の血液検査に希望により追加することとします。対象は50歳以上、市の健診時に血液検査を受ける方で、費用は500円とします。

「認知症サポート検診事業」については、令和8年度からの検診実施に向けてポスター作製、市民公開講座、VR体験、イベント等を通じた普及啓発を実施するとともに、精神・心理的フレイルへの対応にも、つながるよう関係機関とも調整して参ります。

「犯罪被害者等支援条例の制定・相談支援体制の整備」として、令和7年6月に犯罪被害者等支援条例の制定を予定しております。犯罪被害者等への理解を深め、寄り添う支援体制を整備します。具体的には、総合的対応窓口の整備等を予定しており、令和8年度の実施に向けて具体的な支援策を検討しています。

「産業振興計画の策定」について、立川市の産業発展に向け、産業振興計画を策定します。事業者や市民に対し、商工業や労働等の関連産業分野の目指すべき姿や施策の方向性を示します。令和6年度に実施した経済・産業分析、アンケート調査、ヒアリング調査の結果を踏まえ、令和7年度に計画策定作業を行い、計画期間である令和8年度~11年度に実施する具体的な施策を検討します。

「既存住宅の断熱改修費の補助」について、既存住宅の断熱改修を促進するため、市民が市内事業者に発注する断熱性向上に資する窓・ドアの追加及び交換工事費や外壁・天井・床の断熱材追加及び交換工事費の2分の1(上限5万円)を補助するものです。家庭部門の温室効果ガス排出量削減と地域内経済循環を目的として行って参ります。

なお、本施策は私の公約中「高断熱住宅建設促進と既存住宅省エネ改修工事促進のための固定資産税減額制度の拡充」を設計し直したものです。

「泉町西公園整備実施設計(ドッグラン他)」について、泉町西公園の未開園部分に、かねてから要望の高いドッグラン等を整備するため、実施設計を行います。平成30年度から樹木の抜根(ばっこん)や建設基礎の撤去などを実施しており、令和7年度内に完了を予定しております。

さらに、「能登半島地震の災害廃棄物受け入れ」について、立川市クリーンセンターでは石川県(輪島市、珠洲市)からの可燃性廃棄物(木くず等)を令和6年12月から受け入れています。令和7年度も引き続き受入処理を行い、早期復興を支援して参ります。

搬入量は年間約50〜100トンを予定し、鉄道コンテナ輸送で都内まで運び、コンテナ車で搬入します。通常の燃やせるごみ処理や施設運営に影響がないよう、安全に留意して行って参ります。

その他にも

「子育て支援・保健センターの開設」

「自閉症・情緒障害特別支援学級の開設」

「市内初となる重症心身障害者等を受け入れる生活介護事業所の運営支援」

「返礼品なしのガバメント・クラウド・ファンディング」

「学校を含む複合施設整備(第二小学校・高松児童館・曙学童保育所)」

「次期都市計画マスタープランの策定」

「自転車等駐車場の今後のあり方整理」

「競輪場施設の第2期改修工事」

「開設74周年記念競輪 鳳凰賞典レースの開催」

など幅広い部門から、令和7年度執行が不可欠の施策を本予算案に組み入れております。

6 今後の市政運営についての市長の思い

さて、今回の予算編成にあたっては、令和6年の新紙幣発行の際に新1万円札のモデルとなりました近代日本経済の父、渋沢栄一翁【論語と算盤】に想いを馳せました。 

論語に代表される道徳と、算盤に代表される経済、一見対立するこの両者をいかに調和させるか。これは、私たちが日々直面する課題そのものと言えます。

近年、行政サービスの効率化は進みました。しかし、その一方で、市民一人ひとりの多様なニーズに応えきれていないという声も耳にします。

効率一辺倒ではなく、本来は効率化によって生み出された余力こそが、新たな価値創造の源泉となるはずです。例えば、デジタル化による業務の効率化で生まれた時間を、市民との対話に充てたり、新たな福祉サービスの創出に繋げたりすることが考えられます。

一方、理想の実現を目指し、財政状況を軽視するような政策は、持続可能な社会の実現を阻むことになります。財政の健全化は、将来世代への責任であり、同時に、市民サービスの安定提供の基盤であります。

『論語と算盤』が示すように、私たちは、道徳と経済、理想と現実、という一見相反するものを両立させ、バランスの取れた社会を目指さなければなりません。

渋沢栄一翁といえば、女性の社会進出にも熱心に取り組んでいたことが有名です。

実際に女学館、日本女子大学の創設に関わり、両校の館長、校長も務めております。

男尊女卑色の強い論語にこれだけ傾倒しながらも、女性が社会に進出すれば、日本社会に有為な人材が2倍になるという単純ながらも算盤の理をもって、逆に論語の弱点に切り込んでいます。

自身も幕府の役人出身であり、まだまだ封建制度の名残りが色濃い時代にあって、女性参政権が現実になる半世紀以上前に、女性の社会進出の重要性を唱えるのみならず、具体的に臆せず実行するイノベーションの心意気は尊敬の念にたえません。

バランスの上に、果敢に挑戦する姿は、まさに私の市政に対する姿勢への道しるべとなります。

私は、この予算編成のみならず、今後も施政全般においてこのバランス感と挑戦する志を常に重視して参りますので、市民の皆様、市議会の皆様のご理解、ご協力をお願い致します。

結び

結びに、今定例会より、予算編成に関する施政方針表明、続いて各会派代表による代表質問という形式にしていただきました。この手法は、私が長らく議席を有していた都議会をはじめ、全国の地方議会で広く採用されているものであります。

立川市議会においては、答弁者側の反問権導入など先進的な取り組みをされており、私も適宜適切に議論を深めるため活用させていただきたいと存じますが、今般、新たな議会運営の形式を受け入れていただいたことに感謝申し上げます。

施政方針表明では、市長が新年度予算編成にあたり、どのような経営戦略を描き、どのような方針・手法で臨んだのか、そして限られた予算の中で新旧政策にどのような優先順位をつけたのか、その構想の礎を明らかにさせていただいたつもりです。

代表質問は、議員個人というより、あくまでも議会の代表との立場から、まず所属会派の意見を取りまとめ、なおかつ市民が予算案に対して市長に聞きたいであろうことを的確にまとめ、市長あるいは教育長に直接、相対で討論する貴重な機会となります。

都議会では、あまり答弁に立たない都知事に対して直接質疑できる代表質問者は、重責であり、羨望の的でもありました。

この施政方針表明と代表質問での相対の議論を踏まえ、各予算案や関連議案などの具体的な政策審議について、本会議並びに予算特別委員会等の場でより深く議論し、審議を熟成させていくものと考えております。

なお、本定例会には、これまで申し上げたもの、先程、議決いただいたものを含めまして、予算案8件、条例案21件など、合わせまして31件を当初議案として送付いたしました。

どうぞよろしくご審議をくださいますようお願いいたします。以上をもちまして私の施政方針表明を終わりとさせていただきます。

ご清聴いただき、ありがとうございました。

 

令和7年2月18日
立川市長 酒井 大史

 

(注)本文は、令和7年施政方針表明の原稿であり、令和7年2月18日に開催された市議会本会議での発言とニュアンス等が異なる場合があります。詳細につきましては、立川市議会の議事録をご覧ください。

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