令和8年第1回市議会定例会 市長施政方針表明(令和8年2月18日)

ページ番号1026470  更新日 2026年2月20日

令和8年第1回市議会定例会の開会に当たり、令和8年度に向けて、立川市の施政方針を述べさせていただきます。

4期16年にわたり市政のかじ取りをされてきた、清水庄平前市長が2月1日にご逝去されました。市政におけるご功績に敬意を表しますとともに、ご冥福を心よりお祈り申し上げます。

1 令和7年度をふりかえって

令和7年度を振り返りますと、国際情勢の不安定化や国内社会の変化に加え、私たちの暮らしの安全を揺るがす出来事が相次いだ一年でありました。 

とりわけ、当市には直接影響はなかったものの、全国で相次いだ熊騒動は、市民の安全確保の必要性を改めて私たちに突きつけ、今後実施される子どもたちの自然教室や遠足等において、注意しなければならない課題となりました。

また、令和の米騒動といわれるコメ価格の急騰を始めとした食料品等の高騰は、市民生活を直撃するとともに、学校給食における食材費にも大きく影響し、給食の質と子どもたちの栄養価を維持するため、給食費の改定を余儀なくされる状況に至りました。 

もとより、学校給食費の無償化に取り組む本市としては、保護者負担を強いることなく、都の支援を受けながらも市費を投入して対応し、結果として市財政への影響も生じました。

さらに、本市において、5月に第三小学校で発生した不審者侵入事件は、地域社会はおろか、全国的に類を見ない無差別な傷害事件となり、学校現場はもとより、地域の安全・安心を揺るがしかねない事態となりました。

こうした出来事は、日常の安心が決して当たり前ではないことを改めて認識させるものであり、基礎自治体として果たすべき役割の重さを、改めて実感した一年でもありました。 

このような先行きの見えにくい時代にあって、本市では「優しさと安心をカタチに!子育て・暮らしの笑顔あふれる予算~第2章ステップアップ~」を市財政運営の軸に据え、市民の不安に寄り添いながら、着実な歩みを進めて参りました。

5月には子ども・子育て家庭を総合的に支援するとともに、市民の健康生活の増進を支える拠点として「子育て支援・保健センターはぐくるりん」を開設しました。

また、7月からは住民票等のオンライン申請を開始し、行政DXを通じて市民の利便性向上に取り組んで参りました。 

さらに、「たちかわ・ビズ・スタイル」の導入により、職員の働き方と市民との距離を見直し、親しみやすく柔軟な市役所づくりにも着手しました。 

市制50周年記念憩いの場周辺における受動喫煙対策の強化など、第5次長期総合計画のスタートとあわせ、日常の安全から将来のまちづくりまでを見据えた基盤を整えた一年でもありました。 

これらの成果を確かな礎とし、令和8年度も市民の皆様、議会の皆様とともに、安心して暮らし続けられる立川の実現に向け、歩みを進めたく存じます。 

2 新年度の立川市を取り巻く全般的な状況

令和8年度は、デフレからの完全脱却と、物価の上昇を上回る賃上げが牽引する「成長型経済」への転換が決定づけられる重要な年となります。しかし、その裏側で、本市のような地方交付税不交付団体を取り巻く財政状況は、極めて憂慮すべき事態にあります。

国による、いわゆる税源偏在是正措置の名の下での不合理な税制改正により、都市部の貴重な財源を地方へ一方的に分配する仕組みが常態化しており、本市の財政運営には、かつてない圧力がかかり続けております。

さらに、地方税の原則を根底からゆがめる「ふるさと納税制度」による影響は、もはや看過できない規模に達しています。本市における個人市民税の流出超過額は、令和7年度の約9億円から、来年度には約10億円にまで拡大する見通しです。不交付団体である本市にとって、この流出分を補填する国の財政措置は一切なく、本来、公共施設の老朽化対策や福祉の充実に充てるべき貴重な財源が、構造的に毀損され続けているという現実に、強い危機感を抱かざるを得ません。

私たちは、都市が稼ぎ出した財源が、その都市自体の安全・安心を守るための投資を妨げているこの現状に対し、断固として警鐘を鳴らし続け、持続可能な行政サービスの維持に向けた自律的な財政運営を貫いていかなければなりません。

加えて、3期連続5%超となる歴史的高水準の賃上げ(令和7年実績5.52%)に加え、公共工事設計労務単価が前年比6.0%上昇し13年連続で過去最高を更新。施設管理委託料やエネルギーコストも物価高騰に連動して急増し、公共調達全体のコストをかつてない規模に押し上げています。こうした歳出圧力は、市の財政基盤を揺るがす要因となっています。 

一方、国では「こども誰でも通園制度」が令和8年度から全国で本格施行され、子育て世帯の負担軽減と就労支援が図られます。 

また、令和8年11月には防災の司令塔「防災庁」が設置予定で、災害対応体制の抜本強化が期待されます。 

東京都の令和8年度予算案では、私自身が都知事との意見交換の場で直接提案して参りました「公立小中学校の空調更新支援」が盛り込まれ、普通教室の環境改善が大きく進みます。また、都議会議員時代より長年要望を続けてきた「多摩モノレールへのシルバーパス対象拡大」に向けたシステム改修も予算化されました。

令和9年度からの対象拡大に向けた結実であり、今後も都と強力に連携し、市民生活の利便性向上に全力で取り組んで参ります。

本市は自立した財政運営を堅持しつつ、これら国・都レベルの新制度・施策の波を的確に捉えて参ります。公共調達における適切な価格転嫁を徹底し、地域中小企業への経済波及効果を向上させるとともに、子育て支援と防災投資を戦略的に両立し、「変化を市民の確かな豊かさに変える」予算編成を断行し、持続可能なまちづくりを推進して参ります。

3 令和8年度予算編成方針について

令和8年度は、第5次長期総合計画の2年目として、未来ビジョン「魅力咲きほこり つどい華やぐまち 立川 ~新風を吹き込み 美風を守る~」の実現を加速させる重要な年となります。

本予算編成の指針「経営戦略2026」では、4つの政策横断的な視点を掲げました。 

くらしに安全とやすらぎを

第一に「くらしに安全とやすらぎを」。脱炭素、資源循環を推進するとともに、激甚化する災害に備え強靭な都市基盤を構築して参ります。

人もまちも挑戦し続ける

第二に「人もまちも挑戦し続ける」ことです。子どもの権利条例制定の着手やシニア支援など、多世代が輝く磁力あるまちづくりを進めて参ります。 

連携と改革により時代を切り拓く

第三に「連携と改革により時代を切り拓く」視点です。広域・官民連携を深め、DX推進や受益者負担の適正化など、聖域なき行財政改革を行って参ります。 

市役所業務改革の推進加速

第四に「市役所業務改革の推進加速」です。令和8年度のネットワーク大規模更新を機に、BPRやAI活用による抜本的な効率化と職場環境の改善を図って参ります。

 

また、現場職員の柔軟な発想を予算化する、「市長特選枠」改め「チャレンジ提案枠」を継続し、ボトムアップ型の改革を推進します。
限られた財源の中でEBPM(証拠に基づく政策立案)を徹底し、スクラップ&ビルドなど効果的な予算編成を通じて、市民が成長と安心を実感できる市政を追求して参ります。 

4 市長公約関連の取り組み状況について

市長就任以来、市民の皆様とお約束した公約の実現を最優先課題に掲げ、全力で取り組んで参りました。本予算案作成段階で、全50項目の公約のうち、これまでの着手率は94%という高い水準に達しており、着実に前進しております。

公約の実現は市民の皆様との信頼の証です。特に実現し、順調に進展している施策は6割を超え、成果が具体的に現れ始めていると確信しております。

この歩みを加速させるべく、令和8年度予算案では、公約に関連した新規事業を数多く盛り込みました。市民の「もしも ⁉」に寄り添う「おくやみ・終活あんしん窓口」の新設や、新たにデジタル技術を活用した認知機能の低下を判別するサービスの試行実施、「認知症サポート検診」を開始します。

子ども・子育てサポートとして市長部局に「いじめ監察課」を新設し、学校や教育委員会と連携して早期解決を図るほか、「新たな教育情報システム」の運用により学びの充実と校務効率化を推進します。

また「書かない窓口(スマート窓口)」の導入により、行政手続きの利便性を高めます。令和7年度に制定した「公契約条例」は本年4月から、いよいよ施行となります。また今議会に提案する「犯罪被害者等支援条例」においても、議決いただいた上で4月からの施行を目指しております。

さらに、立川競輪場を「特定避難所」に指定するとともに携帯トイレ等の備蓄を増強し防災力を強化するほか、くるプレの全小学校導入学童保育所の新設等により待機児童解消を進めます。

喫煙対策では、多摩地区初となる民設公衆喫煙所への助成金を計上しました。

他にも若者会議の開催パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度立川駅周辺の安全・安心パトロール体制の強化産後ケアや子どもショートステイ事業の拡充ベビーシッター利用料補助対象の拡大ひきこもり対策のため当事者会・家族会の実施などを盛り込んでおります。

5 主要な施策について

今回の予算案については、第5次長期総合計画の未来ビジョンを具現化し、市民の皆様が成長と安心を実感できるよう、「優しさと安心をカタチに!子育て・暮らしの笑顔あふれる予算~第3章 確かな実り~」とタイトルを掲げました。

令和8年度の一般会計予算規模は、前年度比4.2%の増額となる約935億1千万円を見込んでおります。歳入面では、堅調な企業業績等を背景に市税収入が約443億5千万円と、前年度比3.8%の伸びを見込むとともに、市債については前年度の23億2千万円から7億2千万円程度へと大幅に抑制し、将来の財政負担軽減に配慮した健全な運営を堅持しております。しかしながら、扶助費等の義務的経費の増大や公共施設の老朽化対策といった厳しい財政環境に変わりはありません。こうした時こそ、「新風を吹き込み、美風を守る」精神で、次代へ責任を持ってバトンをつなぐ予算編成が必要であると考えます。

本予算案を通じて、市民の皆様の幸せを具体的な「カタチ」にする歩みをさらに加速させて参ります。 

先ほど述べました市長公約関連の取り組み状況を含め、9つの重点施策、コンセプトごとの施策、交渉会派等の要望への対応について、一部重複する施策もございますが、順次ご説明いたします。

6 9つの重点施策

(1) 児童・生徒のいじめ対策の強化

まず始めに、児童・生徒のいじめ対策の強化について、子どもたちの尊厳と人権を守り、安心して学べる環境を整えることは、本市が最優先で取り組むべき使命です。これまでいじめ防止に関する事務は、主に学校現場や教育委員会の固有事務として行われて参りました。しかし、事態の深刻化を防ぎ、より早期に客観性を踏まえた解決へと導くため、令和8年4月に市長直轄の組織として、市長部局に「いじめ監察課」を新設いたします。

本事業では、専門職を配置した通報・相談窓口を設置し、寄せられた情報の調査や、事態の停止に向けた迅速な対応を行います。学校現場と密接に連携しながらも、市長部局が監察機能を果たすことで、いじめの芽を摘み、被害児童・生徒を守り抜く体制を市長の責任において構築します。広報たちかわやホームページ、チラシ配付等を通じた周知を徹底し、一人ひとりの声に寄り添う本市独自のいじめ対策を確立して参ります。

(2) 学童保育所の待機児童解消と放課後の居場所づくり

次に学童保育所の待機児童解消と放課後の居場所づくりについて、共働き世帯の増加に伴い、放課後の児童の安全な居場所の確保は喫緊の課題です。本予算案では、学童保育所の待機児童解消に向け、1億913万9千円の予算を計上し、抜本的な拡充を図ります。具体的には、待機児童の多い第二小学校区において、旧健康会館施設を活用し、定員30名の学童保育所を新たに開設します。あわせて、「くるプレ」を第七小、第九小、西砂小、若葉台小の4校に新たに導入し、市内全19校での実施を達成いたします。

これにより、放課後の子どもの「居場所の選択肢」を増やし、保護者の就労を支えるとともに、すべての子どもたちが安全で健やかに放課後を過ごせる環境を、地域と一体となって創り出して参ります。

(3) 在宅介護事業所の経営及び職員雇用の安定支援

次に在宅介護事業所の経営及び職員雇用の安定支援について、市民が住み慣れた地域で最期まで安心して暮らし続けるための「地域包括ケア」において、訪問介護事業所は欠かせない基盤です。しかし、小規模な事業所は、利用者の入院等といった突発的な事情による急激な減収に弱く、ヘルパー等の職員の雇用維持が困難になるという課題を抱えています。そこで本市は、独自の「在宅介護事業所経営安定支援補助金」を新設いたします。

対象は常勤職員数10名以下の小規模な訪問介護事業所等とし、経営の安定を支援することで、ヘルパーの雇用を守るとともに、利用者の退院後のスムーズなサービス再開を強力にサポートします。障害福祉分野においても同様の支援を行い、在宅生活を支える福祉サービスの継続性を死守して参ります。 

(4) 終活おひとりさま・おくやみ相談窓口の一体的な運用

次に単身高齢世帯の増加を見据え、終末期や死後の不安を市民が一人で抱え込むことのないよう、令和8年4月から「おくやみ・終活あんしん窓口」を新設します。外部の専門家に委託することで、行政書士が一体となって相談に応じる体制を構築します。

本窓口では、施設入居や身元保証、相続や不動産整理といった「終活」に関する包括的な相談を受け付けるとともに、ご遺族が直面する煩雑な亡くなられた後の行政に関わる手続きをスムーズに案内する「おくやみコーナー」を併設します。行政手続きのサポートのみならず、市民一人ひとりの「もしも」の時の不安に寄り添い、最期まで自分らしく安心して暮らせる立川を実現します。これは、複雑化する社会課題に対し、専門知見を活用した寄り添い型の支援を具体化させる本市の象徴的な施策であり、周知啓発にも注力して参ります。

(5) 立川駅周辺の磁力を高める「未来ビジョン」の策定

次に多摩地域を代表する中核的な拠点である立川駅周辺は、本市のみならず、首都圏西部の活力をけん引する極めて重要なエリアです。市制85年を超え、次なる未来に向けて、官民が連携して目指すべき拠点の将来像を描く「(仮称)立川駅周辺の未来ビジョン」の策定に着手し、3年間で合計3,491万4千円の予算を盛り込みました。本市は精神的な豊かさや生活の質などに重点をおいた拠点形成を実現できるポテンシャルを有していると考えています。

本ビジョンでは居心地が良く、歩きたくなる「ウォーカブルなまちづくり」の視点や、ゼロカーボンシティを目指した取組と連動してエリアの価値を高めることで、魅力ある業務・商業機能の誘導などを目指します。令和7年度にはキックオフイベントとしてシンポジウムを開催しましたが、令和8年度からはビジョン策定に向けた調整・検討を段階的に進めて参ります。

現在進めている駅周辺の安全・安心対策やパトロール強化とも連動させながら、居心地の良さを向上させることによる安全感・安心感の向上なども含め、誰もが訪れたくなる、そして働き、住み続けたくなる都市ブランドの更なる価値向上を図り、立川の持つポテンシャルを最大限に引き出す戦略的な都市経営を推進して参ります。

(6) 教育情報システムの更改とICTによる学びの質向上

次に教育情報システムの更改とICTによる学びの質向上について、令和の時代にふさわしい、個別最適な学びと教職員の負担軽減を両立させるため、更改した教育情報システムを令和8年4月から本格稼働させます。

令和8年度当初予算としては4億6,600万4千円を計上し、システムの構築と5年間の運用全体では総額で約31億円を投じる取組により、市内全小中学校において有用なICTの利活用を推進できる教育環境を整備しました。新システムでは、AIドリルを導入し、児童・生徒一人ひとりの理解度や習熟度に応じた学習を可能にするほか、保護者連絡ツールの活用により、欠席連絡等での保護者の利便性の向上や教職員の事務負担の軽減につなげて参ります。

また、ICT支援員の導入により、学校現場での端末活用を強力にサポートし、教職員が子どもたちと向き合う時間を確保するとともに、情報リテラシー教育の充実を図ります。デジタル技術を教育の質向上に直結させ、子どもたちの可能性を最大限に引き出す、効果的なICT教育を推進して参ります。

(7) 学校給食費無償化の継続と生分解性バイオポリマー製ストローの本格導入

次に学校給食費無償化の継続と生分解性バイオポリマー製ストローの本格導入については、小中学校給食費の無償化を継続し、保護者の経済的負担を軽減するとともに、食の安全を確保します。あわせて、令和7年度の試行実施を踏まえ、市内全小中学校へ100%バイオマス由来の「生分解性バイオポリマー製ストロー」を、都内の自治体では初めて本格導入いたします。現在はストローレスで運用されている牛乳の飲用において、児童・生徒の飲みやすさやマナー向上に寄与するとともに、日々の給食を通じて環境問題を自分事として捉えるきっかけとし、環境学習につなげていくことを目的としています。

併せて、令和8年1月に締結した「循環型社会形成に向けた廃食用油の再資源化に関する連携協定」に基づく取り組みの一環として、調理場から回収する廃食用油の航空燃料(SAF)やストローとしてリサイクルする取組等と合わせて、本市独自の「給食」と「環境」を融合させた持続可能な循環型社会への取組を、子どもたちと共に力強く推進して参ります。

(8) 産後ケア事業の充実とユニバーサル化

次に産後ケア事業の充実とユニバーサル化について、産後の母子に対して心身のケアや育児のサポート等を行い、安心して子育てができる支援体制を確保する産後ケア事業を拡充し、6,829万6千円を計上しました。これまで「家族等の支援が受けられない等」としていた利用要件を緩和し、希望する全ての母子がサービスを受けられる「ユニバーサル化」を進め、利用増に対応できるよう委託先施設を増やします。

また、多胎児家庭への支援として、訪問型産後ケアの回数を増やすとともに、緊急利用が必要な状況に対応できるよう24時間365日受け入れ可能な施設を確保します。質・量ともに大幅な拡充を図り、母親が一人で悩むことなく、地域全体で新しい命の誕生を喜び、支え合う「子育て先進都市」の実現に向け、優しさを具体的なカタチにして参ります。

(9) ベビーシッター利用支援事業の抜本的拡充

最後に育児における突発的な負担を軽減し、柔軟な保育環境を整えるため、ベビーシッター利用支援事業の補助対象を大幅に拡大し、3,694万4千円の予算を計上しました。これまでの待機児童対策としての利用に加え、新たに日常生活のリフレッシュや残業時などの「一時預かり」「病児・病後児保育」を補助対象に含めます。

さらに、補助上限額を引き上げ、実質的な負担を抑えることで、誰もが安心して専門的なケアを頼める環境を創出します。子育ての不安を安心に変え、誰もが「立川で子育てをしたい」と実感できる、ゆとりある社会の構築を力強く進めて参ります。

7 コンセプトごとの施策

次にコンセプトごとに施策を順次ご紹介します。

(1)子どもが健やかに育つまちへ

  • 小中学校の熱中症対策

全28校の昇降口へミストシャワーの設置を進めます。加えて、児童・生徒が使用する冷却資材を保管し、再冷凍ができる環境の整備として、冷凍庫と置き型冷凍庫、合計299台について早期の配備完了を目指します。

  • 自閉症・情緒障害特別支援学級の開設

4月から立川第四中学校と第六小学校において、本市中学校では初めて、小学校では3校目となる学級を開設し、一人ひとりに応じた多様な学びの場を拡充します。

  • 子ども・妊婦インフルエンザ予防接種助成の増額

1回あたりの助成額を従来の1,500円から2,000円へ、子どもの経鼻ワクチン接種助成は3,000円から4,000円へ引き上げ、経済的負担を軽減し、市民の健康を守ります。

(2)子育ての不安を安心に変えるまちへ

  •  朝の小1の壁対策の試行

小学校始業前における児童の安全な居場所を確保するため、第一小学校と若葉台小学校の2校で試行実施します。保護者の就労継続を支える働く世帯への応援策です。

  •  医療的ケア児の在宅レスパイト支援の拡大

年間利用上限時間を従来の96時間から144時間へと大幅に拡大し、ケアにあたるご家族の休息を支援します。

(3)心地よさと安全を実感できるまちへ

  • 立川駅周辺の安全・安心パトロール体制強化

警戒員を7名3班体制に増員し、夜23時までの巡回を年間通して本格実施し、5,160万7千円の予算で繁華街の体感治安を向上させます。 

  • 認知症サポート検診事業

50歳以上の市民を対象に、協力医療機関にて認知症サポート検診を実施します。また音声解析等のデジタル技術を活用して認知機能の低下を判別するサービスを試行的に実施します。両事業あわせて認知症の早期発見と適切な治療へつなげます。

(4)環境に優しく安心が広がるまちへ

  • 喫煙マナー向上による喫煙者と非喫煙者の共存

無料の民設公衆喫煙所の設置・維持管理費を上限はありますが100%補助する制度を、多摩地区で初めて実施し、喫煙環境の整備を図り、立川駅周辺の特定地区内における路上喫煙やたばこのポイ捨ての防止につなげます。 

  • 廃食用油の再資源化

「循環型社会形成に向けた廃食用油の再資源化に関する連携協定」に基づき廃食用油を回収し、再資源化することで循環型社会実現に向けた取組を進めます。

  • 立川競輪場を「特定避難所」に指定

帰宅困難者や応援職員の受入拠点として多機能な役割を持つ競輪場を、地域住民の「特定避難所」として新たに指定し、地域の防災力を飛躍的に高めます。 

  • 犯罪被害者等への包括的支援

4月1日の条例施行にあわせ相談窓口を拡充し、見舞金給付やSNS誹謗中傷対策への支援など、寄り添い型のサポートを開始し、犯罪被害者等が平穏な生活を取り戻せるよう努めます。

(5)新たな価値を創造し魅力あふれるまちへ

  • パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度

性の多様性を尊重し、多様な性自認・性的指向のカップル(性的マイノリティ等)とその子どもや親を公的に支援し、人権が尊重される社会を醸成します。 

  • 若者会議の開催

次代を担う18歳から39歳の若者の柔軟な提言を市政に生かすため、令和8年度も継続開催し、近隣市とも連携を図ります。若者が希望を持てるまちに向けた取組を進めます。

  • 広報プロモーションの推進

市民ライター制度など、市民参加型の魅力発信を強化する仕組みを構築し、立川の魅力を多角的に内外へ発信します。

(6)市民サービスの質を高めるまちへ

  • スマート窓口(書かない窓口)の導入

マイナンバーカード等の情報を活用して申請書への自動転記を行い、申請書への記入負担を大幅に削減し、利便性と正確性を向上させます。 

  • 公契約条例の施行と適正運用

4月から条例を施行し、適切な賃金支払いや労働環境を確保します。さらに公共サービスの品質向上とともに、事業者の経営環境に配慮しつつ、官民連携して地域経済の好循環と活性化を両立させる「三方良し」の制度をスタートします。

8 会派等の要望への対応

これらの施策は、市民の声を代弁される議会各会派、そして議員お一人おひとりから寄せられた多様な提言を踏まえ、検討を重ねた結果として具体化したものです。 

本予算案の編成にあたっては、会派の規模や立場にかかわらず、市民生活への影響度や緊急性、将来への効果を丁寧に見極めながら、可能な限り事業として反映することを基本姿勢として参りました。 

以下、議会の慣例に基づき、便宜上、交渉会派ごとに主な取組を整理してご説明いたしますが、いずれの施策も特定の会派に限らず、複数の会派や議員の皆様から寄せられた共通の問題意識、市民の声を踏まえて構築されたものであることを、あらかじめ申し添えさせていただきます。

 

公明党からは、防災・減災対策をはじめ、市民の生命と健康を守る施策や、高齢者・障がい者へのきめ細かな支援について、多くのご提言をいただきました。本予算案では、地域の防災力向上の観点から、立川競輪場を「特定避難所」として位置づけ、地域住民や帰宅困難者の受入体制を強化しております。 

また、福祉分野においては、窓口での円滑なコミュニケーションを支援するための軟骨伝導イヤホンの設置や、医療的ケア児を支えるご家族の負担軽減を目的とした在宅レスパイト支援の拡充を図りました。 

子育て支援の分野では、産後ケア事業の利用要件緩和や、学童保育所の待機児童解消学校現場における熱中症対策など、安心して子育てできる環境づくりを進めております。資源再生利用補助金の単価引き上げなど、環境配慮の両立を図る施策を盛り込んでおります。 

 

次に、日本共産党からは、物価高騰下における市民生活の下支えやセーフティネットの充実について継続的な提言をいただきました。本予算案では、障害のある方の自立を後押しするため、知的障害者グループホームにおける工賃を収入認定から除外する運用改善を行います。

また、インフルエンザ予防接種助成の拡充など、市民の負担軽減と環境配慮を両立させます。さらに、公契約条例の施行やいじめ対策の強化など、人権と生活を守る取組みを推進します。 

 

次に立憲ネット緑たちかわからは、介護現場の基盤維持や環境負荷低減など、中長期的な視点に立った提言をいただきました。本予算案では、小規模訪問介護事業所等の経営安定支援補助金を新設し、サービス継続を支援します。 

また、学校給食における生分解性バイオポリマー製ストローの導入や生理用品の継続配布パートナーシップ・ファミリーシップ宣誓制度の推進など、多様性を尊重し持続可能な社会を目指す施策を盛り込みました。若者会議の開催レスパイト支援拡充なども、将来世代を見据えた取組みとして位置づけております。 

 

最後にその他会派及び無所属の議員の皆様からも、地域経済の活性化や若者支援、行財政改革など、実効性を重視した多くのご提言をいただきました。 本予算案では、農業や商業の現場を支える取組新婚・若年世帯への居住支援若者の定住促進に資する施策などを盛り込み、少子化対策と地域の活力維持を図っております。

また、文化・芸術分野や多様な市民活動への支援広報・シティプロモーションの強化など、立川の魅力を内外に発信する取組みについても、市民参加の視点を重視しながら進めて参ります。

9 まとめ

本予算案は、議会各会派の皆様から寄せられた多様なご提言はもとより、市民の日頃からの要望、さらには市民サービスの最前線で日々業務にあたる職員の知恵と工夫を、限られた財源の中で最大限に生かすことを目指して編成したものでございます。これまでの議会での議論を通して、各会派・議員の立場や考え方は様々でありますが、「市民の暮らしをより良くしたい」という思いは共通しており、その思いを丁寧に受け止めながら、一つひとつの施策として具体化して参りました。 

人口減少、都市基盤(インフラ)や公共施設の老朽化、自然災害の激甚化など、取り巻く環境は厳しさを増していますが、このような時代であるからこそ、対話を重ね、将来世代に責任ある選択を積み重ねていくことが、基礎自治体の使命であると考えております。

本市はこれからも、新しい課題に対して果敢に挑戦する「新風」を吹き込みつつ、築き上げてきた地域のつながりという「美風」を大切に守り抜いて参ります
第5次長期総合計画が掲げる「魅力咲きほこり つどい華やぐまち 立川」の実現に向け、市議会の皆様、市民の皆様と力を合わせ、不退転の決意で市政運営に取り組んで参ります。

10 今後の市政運営についての市長の思い

結びに、令和8年度の予算編成にあたり、私が常に市長として心掛けている「対話」のあり方について、少しお話しさせていただきます。

昨年、テレビ東京WBS(ワールドビジネスサテライト)メインキャスターを務める豊島晋作氏が著した『不器用だった僕がたどり着いた「伝え方」の本質』という本を拝読し、強い感銘を受けました。報道の第一線で活躍する豊島氏が、かつては極端に不器用で、伝えることに苦悩していたという告白は意外なものでありました。そこで語られていた本質は、実に見事です。

世の中の約8割の人は、『自分が話したいこと』を一方的に伝えている。しかし、本当に伝わる話し方をする人は『聞き手を満足させること』を最優先にしているという指摘です。

これは、我々行政にとっても、極めて重い示唆を含んでいます。行政の言葉は、時に難解で一方的になりがちです。しかし、本予算案に込めた想いを真に届けるためには、専門用語を極力排し「中学生にも伝わるレベル」まで言葉を磨き上げ、結論から語る思考を持たねばなりません。

【歴史に学ぶ「情報の重み」と行政の責務】

「伝える力」とは、単なる話術ではなく、「聞く力」との両輪です。市民が何を求めているのか。その本音に真摯に耳を傾け、信頼関係を築くことから、全ては始まります。そして、その信頼の土台となるのが「正確な情報を誠実に届けること」に他なりません。

本年度は、暦の上では「丙午(ひのえうま)」に当たる年です。

今から60年前、昭和41年の丙午の年、日本では「この年に生まれた女性は気性が激しい」といった根拠のない言い伝えが広まり、実際に出生数が大きく減少しました 。
60年後のいま振り返ってみれば、これは迷信に他ならず科学的根拠は一切なかったことは明らかですが、一度広がった流言が、人々の行動や社会の姿を大きく左右した事実として、私たちは重く受け止める必要があります。

現代は当時とは比べものにならない速さで、SNSやネット上に真偽の定かでない情報や不安をあおる言説が瞬時に広がる時代です。だからこそ、行政に携わる私たちは、流言や印象論に惑わされることなく、事実と数字に基づき、冷静に判断する責任があります 。

【将来世代への責任ある選択】

「自分本位」を捨て、徹底して「市民の満足」を基準に考え抜く。私が掲げるこの『伝える本質』は、決して心地よい言葉だけを並べることではありません。

本年度は、これまで先送りされてきた課題が表面化し、判断を避けること自体が将来へのリスクとなる局面もあります 。本市は、現実から目をそらさず、議会の皆様と認識を共有しながら、将来世代に責任ある選択を積み重ねて参りたいと存じます 。

本予算案は、その覚悟を形にしたものであります。市民の心に真っ直ぐに響く、誠実な市政運営を邁進していく決意です。理性と対話に基づく市政運営へのご理解とご協力をお願い申し上げます 。

結び

なお、本定例会には、これまで申し上げたものを含め、予算案7件、条例案33件など、合わせまして47件を当初議案として提出しております。

どうぞよろしくご審議を下さいますようお願いいたします。

以上をもちまして、私の施政方針表明といたします。

ご清聴ありがとうございました。

 

令和8年2月18日

立川市長 酒井 大史

 

(注)本文は、令和8年施政方針表明の原稿であり、令和8年2月18日に開催された市議会本会議での発言とニュアンス等が異なる場合があります。詳細につきましては、立川市議会の議事録をご覧ください。

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